反社会的勢力勢力を排除する!~定義を確認し、そのために必要な社内体制とは?[専門家コラム第68回]

株式会社エス・ピー・ネットワークご提供のコラム「反社会的勢力を排除する!~定義を確認し、そのために必要な社内体制とは?」の最新コラムが、ビジプラ上で更新されました。テーマは「平成27年上半期の暴力団情勢ほか」

その中の一部を各所から抜粋し、こちらでもご紹介します。全文はこちらから





警察庁 平成27年上半期の暴力団情勢

まず、暴力団構成員等の検挙人員は、当期間においては、10,198人と前年同期に比べ789人減少し、その減少比率(▲7.2%)については、暴力団構成員等の減少比率(平成26年12月末現在の暴力団員(暴力団構成員および準構成員)は前年比で5,100人減(▲8.7%)の5万3,500人となっています)とほぼ同程度であることから、その傾向に大きな変化はないものと考えられます。

ただし、その中でも、前年同期に引き続き、「詐欺」の検挙人員が「窃盗」の検挙人員を上回っており、暴力団が「詐欺」を資金獲得の手段としている傾向が続いていることがうかがわれます。暴力団の資金獲得活動については、伝統的資金獲得活動(薬物の違法販売や賭博等)はもちろん、金融業、建設業、労働者派遣事業、風俗営業等に関連する資金獲得犯罪がこれまで同様行われており、時代とともに変遷しながらも多種多様な資金獲得活動を行っている実態があります。

なお、検挙という点では、平成26年下半期から工藤会幹部の大量逮捕が続いたほか、当期間においては、山口組直系組長9人(前年同期比2人増)、弘道会直系組長等(いわゆる「直参」)6人(同1人増)、弘道会直系組織幹部(弘道会直系組長等を除く)10人(同11人減)を検挙するなど、幹部をターゲットとした成果があがっている点が特筆されます。

また、暴力団構成員等に係る組織的犯罪処罰法のマネー・ローンダリング関係の規定の適用状況については、犯罪収益等隠匿関連(第10条違反)が20件(前年同期比+11件)、犯罪収益等収受関連(第11条違反)が18件(同+4件)のほか、起訴前没収保全命令(第23条)の適用は28件(同+10件)など、マネー・ローンダリングに関連する暴力団の事案の摘発が増加している点も大きな特徴です。

六代目山口組の分裂

指定暴力団六代目山口組(山口組)の8月末の内部分裂後、9月末までの1か月間に、全国の警察が新組織「神戸山口組」を含む双方の幹部29人を逮捕、21カ所を家宅捜索したということです。10月に入っても警察の活発な活動は続いており、連日のように、幹部や組員の逮捕情報や家宅捜索に関する報道がなされています。

前回も述べた通り、現行の枠組みでは、新組織の「指定暴力団」化のためには、組織の構成や構成員の迅速な把握(実態の把握)等が必須であり、これら一連の検挙や家宅捜索の動きは、警察が総力をあげて取り組んでいることの表れです。

ただ、今のところ、大規模な抗争までには至っていませんが、新組織に移ろうとした組員が撃たれて死亡する事件等の「局所的な衝突」は既に発生しており、他にも、(一部マスコミへのリークなどを通じた)切り崩し工作や情報戦の激化、拳銃の調達やヒットマンの手配(募集)の動きも報じられるなど、本格的な抗争に向けた暴力団側の動きはさらに緊張感を増しており、(大規模な抗争にまで発展し難い要因が多いとはいえ)注意が必要な状況に変わりはありません。

このような状況下、前回も指摘した通り、事業者としては、「取引等を含む経済活動が内部抗争の主戦場になる」ことから、否応なくそこに巻き込まれる可能性は高く、これまで以上に「接点」や「アプローチ」を警戒し、社内研修による意識の向上や反社チェック等の運用・レベル感などをより厳格に、より適切に行うといった「対応の質を磨いていく」必要があります。

プロ野球の野球賭博問題

2020年東京オリンピックの追加競技に選ばれることが確実視されている野球ですが、そのような重要な時期に、プロ野球の現役投手による野球賭博が発覚しました。新国立競技場建設に向けてスポーツ振興くじ(toto)の対象をプロ野球に拡大する構想も、これによって実現が難しくなるなど、既に多方面に影響が及んでいます。

さて、野球賭博の事案としては、直近では、2010年に大相撲の現役力士が野球賭博に関与していたとして当時の大関や27人が立件された事例や、2012年に某社会人野球チーム内で野球賭博が行われていたことが発覚した事例が記憶に新しいところですが、暴力団員が野球賭博に関与した疑いで逮捕される事例も多いと言えます。

そもそも野球賭博は、暴力団の重要な資金源となっていることはよく知られており、報道によれば、その規模は日本全体で数十億円とも言われています。本事案が、賭博に絡めて八百長をしたということではないにせよ、(暴力団との関係が明らかになれば)暴力団の活動を助長する行為としても厳しく罰せられることになると思います。また、球団側が関係者全てに聞き取り調査を行っていますが、既に他の球団でも調査に着手したところもあるように、本事案は、個人的な特別な問題に簡単に矮小化できるものではなく、球団全体・球界全体に波及する可能性(社会の疑いがそこに向けられていること)を視野に入れて、いち早く自浄能力を発揮して、組織的な関与はなかったとの説明責任を速やかに果たせるよう、徹底的に対応する必要があると言えます。



























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