反社会的勢力を排除する!~定義を確認し、そのために必要な社内体制とは?【第70回】

企業の危機管理ビジネスを手掛ける、株式会社エス・ピー・ネットワーク様ご提供のコラム「反社会的勢力を排除する!~定義を確認し、そのために必要な社内体制とは?」もついに70回目。そこで今回の内容目次とダイジェストを「diamondfrontier.net」でもご紹介します。



~ 目次 ~


【タイトル】「常識」がズレることの怖さ

■ 最近の事例から
1) 六代目山口組の分裂
2) テロリスク
3) 共謀罪の創設
4) マンション標準管理規約の改正
5) 仮想通貨を巡る議論
6) 忘れられる権利
7) 犯罪インフラを巡る動向
① レンタルサーバー
② 名簿
③ ネーム・ローンダリング
8) 工藤会の動向

■ 暴排条例による勧告事例ほか
1) 東京都の逮捕事例(詐欺容疑)
2) 大阪府の勧告事例
3) 岡山県の勧告事例

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~ 本文冒頭抜粋 ~

某私立大学の名誉教授が、暴力団関係者と知りながら借金をし、法律的なアドバイスもしていたということが報じられました。報道によれば、「元組長とは日頃からつきあいがあり、軽い気持ちで借りた。反社会的勢力だからすべてが悪いというのはおかしいと思う」と話したとされますが、東京都杉並区で行政相談委員を務める(問題を受け、総務省は委嘱を解除)など、人格・知見ともに高いと認められる方のこのような発言には本当に失望しました。

一般的に、学校関係者や医療関係者、研究者などは、閉じられた世界にどっぷりと浸かり、社会的地位の割に世間の常識から乖離してしまう危険性が高いと言われていますが、正にこの正直な発言から、「常識」がズレることの怖さを見せつけられた感じがします。学校法人や医療法人をはじめ、そのような危険性を抱える事業者や団体は、彼らの「脇の甘さ」に起因する反社リスクの高さを自覚し、研修をはじめとするコンプライアンス・プログラムの徹底にあらためて取組んでいただきたいと思います。

「脇の甘さ」という点では、スポーツ関係者にも同様のことが言えます。

野球賭博問題に続き、日本オリンピック委員会(JOC)関係者の男性が、指定暴力団山口組系元組幹部の男性らとの会食に同席していた疑いが取り沙汰されています(渦中の男性は否定しています)。本件に限らず、既に、相撲やゴルフ、野球、格闘技系などで密接交際などの事例が発覚していますが、押し並べてスポーツ団体については、同様の事例はまだまだ多いのではないかと推測されます。

これは正に、前述の大学教授と同じ構図で、「常識」という点では、スポーツ選手は過ごしてきた環境などから、やや一般人と異なる傾向にある方が多いのも事実であり、彼らが選手を引退後そのまま団体の幹部に就任する、新たに事業を興すなどの場合に、何のためらいもなく反社会的勢力との関係を継続したり、(彼らからのアプローチにのって)新たに接点を持ったりする可能性を否定できないのが現状です。

なお、暴力団の資金源となっている可能性の高い「賭博」については、スポーツ選手の酒やタバコ、ギャンブルなどの依存症を克服する英国のある施設で、受診者の約7割がギャンブル依存症になっていたという深刻な報告があるとのことです。スポーツ選手が常に競争や緊張感に晒されている(ストレスフルである)こととの関連性が疑われますが、そもそもスポーツと賭博の親和性の高さに「構造的な要因」が認められるのであれば、スポーツ団体やそれに関わる事業者は、ギャンブル依存症対策や反社リスク対策にもっと真剣に取り組むべきだと言えます。

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さて、このように、反社リスクは、「常識」が社会からズレていることに起因する「脇の甘さ」やその世界にどっぷりと浸かるという「構造的・環境的な要因」と密接に関連していることが分かります。

この構図を一般の事業者に置き換えてみると、まずは、そもそも社員一人ひとりの「常識」が必ずしも一律ではないと認識する必要があるということになります。それらが、事業者が思い描いているもの(前提としているもの)と同じレベルになければ、反社リスク対策やコンプライアンス・プログラムの実効性が担保されない(異なる常識レベルにある者にとっては表面的な理解しかできない)ことになり、そのような部分にまで注意を払う必要があります。

福岡県警が、今年、窃盗事件などで任意の取り調べを受けた12~19歳の非行少年348人を対象に行ったアンケートで、暴力団との関わりについて1割以上(40人)が「ある」と回答、「社会に暴力団は必要か」との問いには19人が「必要」と回答したという報道がありました。アンケート結果自体はあくまで参考ですが、事業者は、社員の中にそのような「脇の甘さ」を持った者が「一定数存在する」という現実、その一部の者の軽率な対応が事業全体に大きな影響を及ぼし得る現実を直視しなければなりません。

また、業務上やむなく(顧客として対応せざるを得ない)反社会的勢力と接点を持ちやすい業界(例えば、飲食店や量販店、不動産事業者など)の中で長く働いていることで、知らず知らずのうちに反社会的勢力に対する「免疫」ができ、反社会的勢力との密接な関係に何ら疑問を抱かないようになる(麻痺してしまう)「構造的・環境的な要因」、さらには、そのような環境によって「常識」がズレてしまいやすい点についても、関係者は十分認識しておく必要があります。不動産会社の社員が、賃貸契約できない暴力団員のために、借名契約等によって物件を確保し提供していた事例などは、正にその典型であると言えるでしょう。

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