高校生が持っている可能性をより広げ、より魅力的なものにするべく生まれた、10代のメディア「青春基地」。想定外の未来を作る!をコンセプトに、大学生・高校生の有志が集まって始動。11月22日にローンチした。
そのお披露目イベントが、千代田区「3331 Arts Chiyoda」にて同日に開催。早くから予定定員は満席となっており、当日は約70名の参加者で賑わい、非常に活況ある形で会が進行された。
冒頭は代表の石黒わこさん(慶應義塾大学SFC3年)から、今回のメディアの趣旨、そして立ち上げに至った経緯を、これまでの自らの活動の歩みとともに説明。
彼女は、高校時代からNPO活動、媒体制作などさまざまな活動に関わっており、非常に充実した日々を送っていたという。そして、「やりたいこと=できること&やるべきこと」だという認識が彼女にはごく普通にあった。
しかし一方で、「私なんて・・・」などと自分の可能性を閉じ込めてしましがちな、自己肯定意識が低くアグレッシブになりきれない同世代もたくさん見てきた。そういう若い世代に何か一歩踏み出すきっかけを作りだしたかったというのが、今回の活動の一つの原点。
もう一つは、インターネットの可能性にあらためて気づいたこと。非常に多くの学生がSNSなどを通じて、自己表現の機会を積極的に設けたり、双方向のコミュニティがあちこちで生まれている。それらをうまく活かすことで、「若い可能性をもっと広げる何かを生み出すことができるのでは」。そう考え、メディア作りを目指すことにした。
その主役に置いたのは「高校生」。運営チーム5名は大学生主体となるが、その中にも1名高校生が入り、高校生チームが実際の編集・運営に携わる。テーマ設定、取材先選定、取材・執筆・編集、更新作業など全てを自ら行い、さらにイベント企画や商品開発などまで、メディア運営からさらに先の可能性を見据えているようだ。
「地域、年齢、趣味などのバックボーンの違いを超え、より多くの高校生が集う機会に」。その言葉通り、すでに東京だけでなく、関西でも活動が動きだし始めているという。
そして具体的に、何をキーワードに活動するか。その5つのテーマを各担当の高校生から発表。
こちらは、各界で活躍する著名人などを訪問しインタビューするもの。第一弾は俳優の村上虹郎さんを予定
ストレートに「青春」と名付けられたこのコーナーは、純粋に「楽しい」「ワクワク」を探してアプローチするもの
高校生活にスポットを当てて取材。特に部活動をクローズアップしていく
活躍中の同世代から、それぞれの持論や取り組みを「寄稿」として紹介するもの
最後は、誰もが気になる自分の将来のこと。「仕事」「進路」がテーマ
そして各自が取材してきた記事がこの日、正式なサイトとなって公開。カウントダウンがはじまり、そしてクラッカーの音とともにお披露目された
実際のサイトイメージは以下のようになる(※画像クリックでサイトにリンク)
実は、日本の高校生の自己肯定感の低さは、ニュースでもたびたび取り上げられるほど(記事例(1)、記事例(2))、非常に悩ましい問題となっている。
しかし石黒さんは「その意識は十分変えられるはず」と語る。実際にこれまで多くの高校生と接してきて、新たな人との出会いや、一つの具体的な取り組みが、一人ひとりの意識や行動を大きく変えるさまを何度も見てきたからだ。
「人の行動や考え方は、子供の頃の環境に左右されがちなのは否定はできません。でもそれだけでは終わらない可能性を高校生は持っています。そこをもっと伸ばしていきたいのです」と、石黒さんは今後の可能性を語る。同時に、これらの活動がごく一部の枠組みの中で終わらないためにも、社会の理解も強く求める。「若い世代が、イキイキと自分の可能性に向かっていけるような社会になるように、大人の方も是非、応援していただけると嬉しいです」と。
「青春基地」という名称、この「基地」には、「ここがみんなの居場所であり、飛び立ち発信する場所である」そんな意味を込めているという。
それはまさに、アメリカ合衆国の心理学者であるメアリー・エインスワースが提唱した「安全基地」の概念にも似る。同氏はこの中で、「子供は親との信頼関係によって育まれる、心の安全基地の存在によって外の世界を探索でき、また帰還することができる」と説明しているが、必ずしも「安全基地」は、親子間だけでしか、幼児期だけしか機能しないというべきものではないはずだ。
この「青春基地」のような、「若い世代が挑戦することを促し受け止める場所」が、社会に増えていけば、人の可能性はもっと育まれていくだろうし、自分を肯定する力が高まることで、周りを許容する意識も上がる。より多様性高い、人と人の可能性が相乗することで、まさに「想定外の未来!」が生み出されることになるのではないだろうか。
彼女の強いリーダーシップと、仲間の若さあふれるエネルギーに期待したい。
(ダイヤモンド経営者倶楽部 北村)